項目
1 インストール #
1.1 UEFI—Unified Extensible Firmware Interface #
UEFI (Unified Extensible Firmware Interface) を利用して起動するシステムに openSUSE をインストールする場合、事前に製造元が推奨するファームウエア更新を必ずチェックし、可能であればインストールしておくことを強くお勧めします。 Windows 8 がプレインストールされているマシンの場合、お使いのシステムが UEFI である可能性が高いものと思われます。
背景: UEFI のファームウエアによっては、 UEFI のストレージ領域に多くのデータが書き込まれることで、起動に失敗してしまうバグを抱えています。もちろんこれはバグであるため、どれだけ "多くの"データを書き込むことで問題を発生させるのかは、誰にもわかりません。 openSUSE では、 OS を起動するのに最低限必要となるデータ (UEFI に対して、 openSUSE のブートローダの場所を示すための情報) しか書き込まないようにすることで、このバグの発生を最小化しています。 Linux カーネルのオリジナル版では、 UEFI のストレージ領域に起動やクラッシュに関する情報を書き込む機能 (pstore
) がありますが、openSUSE の既定では無効化しています。ただし、バグである都合上、ハードウエアの製造元が推奨するファームウエア更新については、必ずインストールしておくことをお勧めします。
1.2 UEFI, GPT, MS-DOS の各パーティションについて #
EFI/UEFI の仕様には、新しい形式のパーティションテーブル GPT (GUID パーティションテーブル) が定義されています。この新しい方式では、ユニークな GUID (識別子; 32 桁の 16 進数で表わされる 128 ビットの値) を利用してデバイスとパーティション種別を識別します。
これに加えて、 UEFI の仕様では古い MBR (MS-DOS) 形式のパーティションテーブルにも対応しています。 Linux のブートローダ (ELILO, GRUB2) では、これらの古い形式のパーティションに対して、自動的に GUID を割り当ててファームウエア内に書き込もうとします。この場合、 GUID は頻繁に変更されるものであるため、ファームウエアへの再書き込みも頻繁に発生することになります。この再書き込みには 2 つの操作、具体的には古い項目の削除と、それを置き換える新しい項目の作成を行ないます。
新しいファームウエアでは、削除された項目を収集して古い項目用に確保したメモリを解放する、ガーベージコレクタ機能が用意されています。ファームウエアに不具合があると、これらの古い項目を収集できなかったり、メモリを解放しなかったりする場合があり、これにより起動が不可能になる場合があります。
このような場合は、古い MBR 形式のパーティションを新しい GPT 形式のパーティションに更新して、問題を回避してください。
2 全般 #
2.1 LUKS で暗号化されたパーティションが設定されているシステムでの起動問題について #
環境によっては、 Plymouth がパスフレーズのプロンプトを正しく表示しない場合があります。この問題を修正するには、カーネルのコマンドラインに plymouth.enable=0
を追加してください。詳しくは https://bugzilla.opensuse.org/show_bug.cgi?id=966255 をお読みください。
3 テクニカル #
3.1 印刷システム: 改善点と互換性を失う変更について #
CUPS バージョン 1.7 へのアップグレードについて
バージョンが新しくなったことにより、 CUPS はバージョン 1.5 と比較して大きな変更が加えられています。これによって、設定を手作業で修正する必要があるかもしれません
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現在は標準の印刷ジョブ形式が PS ではなく、 PDF になっています。そのため、旧来の PostScript プリンタで印刷を行なう場合は、新たにフィルタを設定する必要が生じています。
詳しくは http://ja.opensuse.org/印刷処理 をお読みください。
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ネットワークプリンタを検出するためのプロトコルが変更されています。ネイティブな方式は、新たに DNS Service discovery (DNS-SD (Avahi 経由)) をベースにしたものになっています。
cups-filters
パッケージに含まれるcups-browsed
サービスを利用することで、古いプロトコルと新しいプロトコルの橋渡しを行なうことができます。 また、 "古い形式の" クライアント (LibreOffice と KDE を含みます) からプリンタを検出する場合についても、cupsd
とcups-browsed
の両方を動作させる必要があります。 -
IPP プロトコルの既定のバージョンが、 1.1 から 2.0 になっています。 CUPS 1.3.x (たとえば SUSE Linux Enteprise 11 など) の古い IPP サーバは、 IPP 2.0 のリクエストを "Bad Request" として拒否してしまいます (詳しくは http://www.cups.org/str.php?L4231 をお読みください) 。
古いサーバで印刷できるようにするには、下記のいずれかの箇所に '/version=1.1' を追加して、バージョンを明示してください:
client.conf
内のServerName
設定 (たとえばServerName older.server.example.com/version=1.1
のように)CUPS_SERVER
環境変数の値コマンドラインツールの場合、
-h
で指定するサーバ名の値 (たとえばlpstat -h older.server.example.com/version=1.1 -p
のように)
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いくつかのフィルタおよびバックエンドが
cups
パッケージからcups-filters
パッケージに移動されています -
いくつかの設定ディレクティブが、
cupsd.conf
からcups-files.conf
に分離されています (それぞれ http://www.cups.org/str.php?L4223 , CVE-2012-5519, https://bugzilla.opensuse.org/show_bug.cgi?id=789566 をお読みください) 。 -
CUPS のバナーとテストページについては、
cups
パッケージからcups-filters
パッケージに移動されています (詳しくは http://www.cups.org/str.php?L4120 と https://bugzilla.opensuse.org/show_bug.cgi?id=735404 をお読みください) 。
4 さらに詳しい情報とフィードバック #
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CD 内の README をお読みください。
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また、特定のパッケージに対する詳細な変更点を RPM パッケージから表示するには、下記のコマンドを実行します:
rpm --changelog -qp <ファイル名>.rpm
ここで、 <ファイル名> には RPM のファイル名を指定します。
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また、 DVD のルートディレクトリには
ChangeLog
ファイルがあります。ここには、更新されたパッケージに対する全ての変更点が時系列順に並んでいます。 -
それ以外にも、 https://activedoc.opensuse.org/ には追加/更新されたドキュメンテーションがあります。
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openSUSE からの最新の製品情報を読むには、 http://www.opensuse.org をご覧ください。
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